京都大学医学部附属病院 放射線治療科

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研究活動 医学物理研究

医学物理グループは、放射線治療分野における基盤研究・開発、臨床研究、臨床支援、産学協同研究・開発に携わり、放射線腫瘍学の発展に物理工学面から貢献することを目指しています。

 

(1) 四次元画像誘導放射線治療装置の開発

科学技術の革新的進歩により、高精度な放射線治療が実現可能になりつつあります。その中でも、現在は腫瘍の呼吸動態が問題とされており、既存の放射線治療装置では実現困難でした。当院ではVero4DRT(MHI-TM2000)を三菱重工業と共同開発し、動体追尾照射を肺癌、肝臓癌、膵臓癌に対して実現しました。世界初である照射技術の臨床応用のため、照射精度の検証や装置の品質管理に貢献しました。さらに強度変調放射線治療(IMRT)と動体追尾照射を融合させた動体追尾IMRTの実現、モンテカルロ法を駆使した高精度四次元放射線治療線量計算システムを独自に開発等、新たな照射技術の研究開発、その臨床応用に取り組んでいます。

(2) Dynamic WaveArc

当院では、三菱重工業と共同でDynamic WaveArc (DWA) という新しい照射法を開発しました。ガントリーとリングを同時に回転させることで、寝台を回転せずにノンコプラナ方向からのビームを含む波状軌跡で強度変調ビームの照射が可能です。現在、DWA照射は脳や前立腺に対し実臨床へ展開しており、品質管理手法の考案と、新たな照射精度検証法の開発に取り組んでいます。

3) 四次元コーンビームCT(4DCBCT)

四次元コーンビームCT(4DCBCT)とは通常のCBCT撮像と同時に呼吸情報を取得し、その呼吸情報を基に呼気位相や吸気位相などに分けてCBCT画像を再構成し、「動く体内画像」を作る技術です。この「動く体内画像」を照射直前に撮影することによって、より正確に標的の位置・動きを把握することができ、高精度な照射を実現することができます。現在臨床試験としてデータの収集・解析を行い、再構成された標的位置の妥当性の検証や動体追尾照射への応用研究が行われています。

4) TrueBeam Developer mode

Developer modeとはユーザーが治療装置の様々な動作を自由に設定し、治療計画装置では実現できない新規照射法やイメージング方法を幅広く開発することができるオプションです。当院ではカウチ同時駆動型の回転強度変調照射法や、MV-X+kV-X線の同時回転イメージング法を開発しています。その他にも呼吸同期イメージングやMV-X線の散乱線がkV検出器に与える影響の研究などを行っています。

5) 照射実績ログを用いた実投与線量分布再構成法の開発

照射実績ログを用いた実投与線量分布再構成法を開発しています。これにより、日々の投与線量分布が評価可能となりました。現在では呼吸性移動を伴う疾患に対しても展開しています。

6) Interfractional anatomical variationへの対応

照射期間中に変化する腫瘍体積、体重、臓器形状により、体内実投与線量分布は治療計画時と異なります。この差異を監視することで、適切な放射線治療を提供可能なシステムを構築しています。

 

7) 3Dスキャナーを用いた衝突検出システムの開発

放射線治療装置を3Dスキャナーでスキャンし、放射線治療装置と患者との衝突を未然に防ぐことを可能とする衝突検出システムを開発しています。

研究費受け入れ状況

詳細は医学物理G独自ホームページをご覧ください。