京都大学医学部附属病院 放射線治療科

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研究活動 医学物理研究

医学物理グループは、放射線治療分野における基盤研究・開発、臨床研究、臨床支援、産学協同研究・開発に携わり、放射線腫瘍学の発展に物理工学面から貢献することを目指しています。

 

(1) 四次元画像誘導放射線治療装置の開発

科学技術の革新的進歩により、高精度な放射線治療が実現可能になりつつあります。その中でも、現在は腫瘍の呼吸動態が問題とされており、既存の放射線治療装置では実現困難でした。当院ではVero4DRT(MHI-TM2000)を三菱重工業と共同開発し、動体追尾照射を肺癌、肝臓癌、膵臓癌に対して実現しました。世界初である照射技術の臨床応用のため、照射精度の検証や装置の品質管理に貢献しました。さらに強度変調放射線治療(IMRT)と動体追尾照射を融合させた動体追尾IMRTの実現、モンテカルロ法を駆使した高精度四次元放射線治療線量計算システムを独自に開発等、新たな照射技術の研究開発、その臨床応用に取り組んでいます。

主な業績:

Ono T et al. Geometric and dosimetric accuracy of dynamic tumor tracking during volumetric-modulated arc therapy using a gimbal mounted linac. Radiother Oncol 2017; in press.

Ishihara Y et al. Development of a four-dimensional Monte Carlo dose calculation system for real-time tumor-tracking irradiation with a gimbaled X-ray head. Phys Med 2017; 35: 59-65.

Mukumoto N et al. Development of a four-axis moving phantom for patient-specific QA of surrogate signal-based tracking IMRT. Med Phys 2016; 43: 6364-6374.

Mukumoto N et al. Intrafractional tracking accuracy in infrared marker-based hybrid dynamic tumour-tracking irradiation with a gimballed linac. Radiother Oncol 2014; 111: 301-305.

Akimoto M et al. Predictive uncertainty in infrared marker-based dynamic tumor tracking with Vero4DRT. Med Phys 2013; 40: 091705.

 

(2) Dynamic WaveArc

当院では、三菱重工業と共同でDynamic WaveArc (DWA) という新しい照射法を開発しました。ガントリーとリングを同時に回転させることで、寝台を回転せずにノンコプラナ方向からのビームを含む波状軌跡で強度変調ビームの照射が可能です。現在、DWA照射は脳や前立腺に対し実臨床へ展開しており、品質管理手法の考案と、新たな照射精度検証法の開発に取り組んでいます。

主な業績:

Hirashima H et al. Geometric and dosimetric quality assurance using logfiles and a 3D helical diode detector for Dynamic WaveArc. Phys Med 2017; 43: 107-13.

Sato S et al. Commissioning and quality assurance of Dynamic WaveArc irradiation. J Appl Clin Med Phys 2015; 16: 73-86.

Mizowaki T et al. Feasibility evaluation of a new irradiation technique: three-dimensional unicursal irradiation with the Vero4DRT (MHI-TM2000). J Radiat Res 2015; 56: 750-6.

 

3) 四次元コーンビームCT(4DCBCT)

四次元コーンビームCT(4DCBCT)とは通常のCBCT撮像と同時に呼吸情報を取得し、その呼吸情報を基に呼気位相や吸気位相などに分けてCBCT画像を再構成し、「動く体内画像」を作る技術です。この「動く体内画像」を照射直前に撮影することによって、より正確に標的の位置・動きを把握することができ、高精度な照射を実現することができます。現在臨床試験としてデータの収集・解析を行い、再構成された標的位置の妥当性の検証や動体追尾照射への応用研究が行われています。

主な業績:

Iramina H et al. The accuracy of extracted target motion trajectories in four-dimensional cone-beam computed tomography for lung cancer patients. Radiother Oncol 2016; 121: 46-51.

Iramina H et al. Three-dimensional target motion estimation from dual-source CBCT projections and extracorporeal infrared marker.  Med Phys 2017; 44: 2783.

 

4) TrueBeam Developer mode

Developer modeとはユーザーが治療装置の様々な動作を自由に設定し、治療計画装置では実現できない新規照射法やイメージング方法を幅広く開発することができるオプションです。当院ではカウチ同時駆動型の回転強度変調照射法や、MV-X+kV-X線の同時回転イメージング法を開発しています。その他にも呼吸同期イメージングやMV-X線の散乱線がkV検出器に与える影響の研究などを行っています。

主な発表:

中村光宏、 Developer modeの使用経験 バリアンセミナー京都 2017 :京都 みやこめっせ 20177

 

5) 照射実績ログを用いた実投与線量分布再構成法の開発

照射実績ログを用いた実投与線量分布再構成法を開発しています。これにより、日々の投与線量分布が評価可能となりました。現在では呼吸性移動を伴う疾患に対しても展開しています。

主な業績:

Hirashima H et al. Geometric and dosimetric quality assurance using logfiles and a 3D helical diode detector for Dynamic WaveArc. Phys Med 2017; 43: 107-13.

 

6) Interfractional anatomical variationへの対応

照射期間中に変化する腫瘍体積、体重、臓器形状により、体内実投与線量分布は治療計画時と異なります。この差異を監視することで、適切な放射線治療を提供可能なシステムを構築しています。

 

主な発表:

松下矩正、中村光宏 他  EPID射出フルエンスマップに基づく患者由来の日間変動の検出45回 日本放射線技術学会秋季学術大会、広島、2017年10月

 

7) 3Dスキャナーを用いた衝突検出システムの開発

放射線治療装置を3Dスキャナーでスキャンし、放射線治療装置と患者との衝突を未然に防ぐことを可能とする衝突検出システムを開発しています。

研究費受け入れ状況

研究費

1.     基盤研究(B) 研究代表者:中村光宏 統計呼吸動体モデルを軸とした寡分割高精度放射線治療技術の開発.30年度

2.     基盤研究(C) 分担:中村光宏 ビックデータを活用した放射線治療計画支援システムの基盤開発.30年度

3.    若手研究 研究代表者:椋本宜学 腫瘍動体に頑強な四次元放射線治療システムの開発. H30年度

4.    若手研究 研究代表者:小野智博 強度変調放射線治療プランのQA結果予測システムの開発. H30年度

5.    平成30年度 日本医療研究開発機構研究費 (革新的がん医療実用化研究事業) 分担:中村光宏、宮部結城、椋本    宜学、小野智博 次世代Dynamic WaveArc照射法の開発と長期有効性・安全性の評価

6.     平成29年度京都発革新的医療技術研究開発助成事業 研究代表者:中村光宏 肺定位放射線治療における深層学習を活用した予後予測モデルの構築.29年度

7.     若手研究(B) 研究代表者:石原佳知 患者個人生涯医療被ばく線量計算システムの基盤開発.29-31年度

8.     平成27年度 日本医療研究開発機構研究費 (革新的がん医療実用化研究事業) 研究代表者:中村光宏 四次元コーンビームCTを利用した次世代型動体追尾照射法の開発.27年度

9.     若手研究(B) 研究代表者:椋本宜学 四次元画像誘導放射線治療の高精度化のための新たな腫瘍未来位置予測モデルの開発.27-29年度

10.     研究活動スタート支援 研究代表者:石原佳知 動体追尾強度変調照射に対応した高精度四次元線量計算システムの開発.25-26年度

11.     若手研究(B) 研究代表者:宮部結城 4次元放射線治療計画の臨床応用に向けた基礎検討.24-26年度

12.     若手研究(B) 研究代表者:中村光宏 動態下における強度変調放射線治療の安全性に関する基礎的検討.23-25年度

特別研究員奨励費

1.     特別研究員奨励費 DC2 研究代表者:平島英明 患者個別のガンマ解析法の開発,及び,機械学習を用いた簡易的QA方法の開発.30年度

2.     特別研究員奨励費 DC2 研究代表者:伊良皆拓 放射線治療の高精度化に向けた革新的デュアルソースコーンビームCTの開発.28-29年度

3.     特別研究員奨励費 DC1 研究代表者:高宮大義 肺癌放射線治療における金マーカーレス動体追尾照射法の開発.27-28年度

4.     特別研究員奨励費 DC2 研究代表者:小野智博 臨床展開へ向けた動態追尾回転照射の確立、ジンバル機構を用いた新照射法の開発.26-27年度

5.     特別研究員奨励費 DC1 研究代表者:石原佳知 モンテカルロ法を用いた高精度四次元線量計算システムの開発.22-24年度