京都大学医学部附属病院 放射線治療科

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医学物理グループ伊良皆の論文がPhys Med, Radiol Phys Technol誌に採択されました。

当科、医学物理グループ伊良皆の論文が➀Phys Med誌,②Radiol Phys Technol誌に採択されました.

➀Performance of cone-beam computed tomography imaging during megavoltage beam irradiation under phase-gated conditions

以下,論文の内容です.
呼吸によって動く臓器に生じた腫瘍に対して放射線治療を行う場合腫瘍が動きうるすべての範囲に放射線を照射する方法がありますが呼吸タイミングによっては正常な部位に対して不必要な放射線が照射されることになります.
そこで治療中に呼吸波形をモニタリングし,例えば息を吐いたタイミングのみ放射線を照射し,照射する範囲を小さくすることができる呼吸同期照射が開発され,当院でも実施してきました.
しかし治療中は呼吸波形のみしか見ておらず,体内の腫瘍位置を見ているわけではありません.
そこで当グループでは,放射線照射と同時に体内をイメージングし,放射線照射中の腫瘍位置を検出可能な技術を開発しました.
本論文は,その技術を呼吸同期照射で実施可能か基礎検討を行った内容となっております.
画質や腫瘍位置認識などの観点からファントムにて検討を行い,実際の治療時に用いられる条件において,呼吸同期照射中の体内イメージングは可能であることを示しました
本論文を基礎とし,実臨床における呼吸同期照射のさらなる高精度化に努めてまいります.

②Multi-institutional questionnaire-based survey on online adaptive radiotherapy performed using commercial systems in Japan in 2023
https://doi.org/10.1007/s12194-024-00828-4

以下,論文の内容です.
一般的な放射線治療は,毎照射日の位置の補正を行いながら,事前に治療計画用画像を撮影し作成した一つのプランで治療を行います.
しかし,腹部や骨盤部などの体内臓器は日々の形状変化が大きく,たとえ位置の補正を行ったとしても治療計画通りには放射線を照射することができない場合があります.
そこで,毎照射日に画像を撮影し毎回治療計画を行いその日の体内状況に最適な治療を行う即時適応放射線治療が開発され,当院でも2022年より導入されております.
腫瘍に対してしっかりと放射線を当てることが可能となりましたが,この技術は専用の特殊な装置が必要であり,そのワークフローも従来の放射線治療とは大きく異なるため,新規に導入しようとする施設に対して障壁となりえます.
そこで本論文では,2023年10月時点で本邦で即時適応放射線治療装置を導入していた9施設すべてに対してアンケート調査を実施し,各施設の現状や装置のコミッショニング・ワークフロー構築の際のTipsを収集しました.
全ての施設から回答を得ることができ,そのまま実務に活かせるような回答を得ることができました.
本論文は,今後の本邦における即時適応放射線治療の安全な導入に資するものだと考えております.

 

※当科業績はこちらよりご確認ください.