京都大学医学部附属病院 放射線治療科

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当科医局(現:国立病院機構 京都医療センター)植木の論文が採択されました。

当科医局(現:国立病院機構 京都医療センター)植木の論文がJ Radiat Res誌に採択されました。

https://academic.oup.com/jrr/advance-article/doi/10.1093/jrr/rrac035/6627564 

以下、論文の内容です。

初回治療が奏功した限局期小細胞肺癌(LS-SCLC)の患者には、予防的全脳照射(PCI)の追加が推奨されています。しかし、近年は脳MRIの普及により脳転移が生じても早い段階で診断できる場合があることや、PCIには有害事象(特に神経毒性)のリスクも伴うことが理由で、PCIはしばしば省略されることがあります。一方で、PCIが適応となる患者のうち、どの患者が脳転移の生じるリスクが高く、PCIによる利益を得る可能性があるのか従来よく分かっていませんでした。仮に脳転移の発生をあらかじめ予測することができれば、脳転移リスクの低い患者はPCIを回避できる可能性があり、脳転移リスクの高い患者はPCIの利益を享受できる可能性があります。そこで本研究では、初回治療が奏効したLS-SCLC患者における、脳転移の発生に関連する因子を探索しました。その結果、初期治療前のプロガストリン放出ペプチド(ProGRP)値が上昇している患者は、ProGRPが低値の患者に比べて、その後の脳転移の発生率が高く、また、PCI によって生存率が改善する可能性が示唆されました。