京都大学医学部附属病院 放射線治療科

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当科医学物理グループ 足立の論文が採択されました

当科医学物理グループ足立の論文がJACMP, RPT誌に採択されました。

 

https://aapm.onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/mp.15466

 

以下、論文の内容です。

 


JACMP

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35088515/

放射線医学領域において,腫瘍などの関心領域から肉眼的に確認できない多量の定量的画像情報を網羅的に解析し,臨床転帰と結び付ける”Radiomics”が注目を集めています.Radiomicsは非侵襲的なバイオマーカーとして,放射線治療後の予後予測精度を大きく改善することが報告されていますが,臨床現場に導入するにあたり,どのような因子が予測結果に影響を与えるのかを検討する必要がありました.

本研究では,肺がんに対する放射線治療において,特に注意が必要な因子である呼吸性移動に着目し,3次元人体ファントムと模擬腫瘍を用いて,肺腫瘍の動きをシミュレーションしました.模擬標的の動きがRadiomics特徴量へ与える影響を評価したところ,標的移動量が大きくなるにつれて,Radiomics特徴量の再現性が低下することを明らかにしました.今後,Radiomicsにより予後予測をおこなうにあたり,腫瘍の呼吸性移動を低減することで,より予測精度が高く,堅牢な予測モデル構築が可能となることが期待されます.


RPT

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35067904/

生体から得られる多量の定量的特徴量を網羅的に解析し,診断や予後と結びつけるオミクス解析が注目を集めています.当科医学物理グループにおいても,特に線量分布のオミクスデータである”Dosiomics”が,肺定位放射線治療後の有害事象発症予測に有用であることを報告しました(Adachi T et al, Med Phys. 2021). しかし,Dosiomicsを臨床現場に導入するにあたり,どのような因子が予測結果に影響を与えるのかを検討する必要がありました.

本研究では,当院で肺定位放射線治療を施行した105症例を対象に,Dosiomics解析に影響を与える因子の探索を行いました.その結果,最も影響を与える因子は,放射線治療計画時に線量分布の推定をおこなう際に用いられる線量計算アルゴリズムであることを明らかにしました. 今回得られた知見を基に,Dosiomicsを活用した予後予測をおこなうことで,精密放射線治療のさらなる発展に繋がることが期待されます.


※当科業績はこちらよりご確認ください。