術中照射
術中照射とはどのような治療法ですか
手術によって患部を露出し、一度に大量の放射線を病変に照射する方法です(下図は膵がんのもの)。
どのような病気に使われるのですか
い ままでに脳腫瘍、頭頸部がん、膵がん、胆道がん、直腸がん、子宮がん、膀胱がん、骨・軟部組織腫瘍など、通常の放射線治療では治すことが困難な多くの悪性腫瘍に応用さ れ、効果があることが確かめられました。現在京都大学医学部附属病院では、主として難治性の膵がんや骨肉腫に対し術中照射を行い、効果をあげています。特に 骨肉腫では病気のある手足を切断しなくてすむようになりつつあります。
どんな利点があるのですか
- 病変を直接目で見て確かめられるので確実に放射線をあてる事ができます。
- 放射線に弱い病変周囲の重要な正常組織を手術操作で確実に放射線があたらないようにできます。例えば、図に示すように、放射線に弱い小腸、肝臓、腎臓を避けて大線量を膵がんに照射できます。
- 今までの知見によって、同じ量の放射線を病変にあてるのなら1回であてる方がより多くの腫瘍細胞を殺せることがわかっています。このことにより普通の放射線治療が効きにくい放射線抵抗性の腫瘍でも効果があります。
- 手術前や手術後に放射線をあてるよりも治療期間が短くなります。手術のみの場合とほぼ同じ入院、治療期間で行うことができ、経済的にも、精神的にも患者さんや御家族の御負担が軽減されます。
欠点はないのですか
- 放射線を何回にも分けてあてると治療に有利にはたらく現象がいくつか起こることが知られています。術中照射はこの現象の利点をいかすことができません。
- 手術によって得られる視野からしか放射線をあてられませんから、病変の大きさには制限があります。
どのような放射線が使われるのですか
膵がんに対しては電子線が、骨肉腫に対してはX線が用いられます。
手術時間がのびることはありませんか
通常の手術のみの時間とほとんど変わりません。
副作用はないのですか
先にも述べたように、放射線に弱い正常組織には放射線があたりませんから、まず副作用はありません。