研究活動 物理グループ
医学物理
医学物理士とは
医学物理士とは、放射線診療が適切に行われるように医療の現場において放射線物理の専門家として関与し、高度な医療技術の実践・教育、革新的医療技術・医療機器の開発を行う専門家です。また、放射線医学において、イメージング技術開発、治療法の開発(治療計画デザイン)、精度保証/精度管理プロトコルの開発と実施を担うべき人材で、欧米では5000~6000名の理工系大学院を修了した医学物理士が大学機関、医療機関、研究機関等で活躍しています。我が国では日本医学放射線学会が医学物理士を認定していますが、医療現場で活動を展開し、さらに本来担うべき業務に従事している医学物理士が圧倒的に不足しているのが現状です。その背景には医学物理士育成のための大学でのカリキュラムが存在してこなかったことがあります。
医学物理グループ
医学物理グループは、教官4名(特任准教授2名、特任助教2名)、大学院学生6名から構成され、放射線治療分野における基盤研究、臨床研究、臨床支援、品質保証/品質管理(QA/QC)を通じて、京都大学放射線治療の医学物理的側面を全面的にサポートしています。今の体制が築かれたのは2005年で比較的新しいグループではありますが、欧米型の医学物理部門を実践的に展開できている数少ないグループでもあります。2008年4月からは、国のがんプロフェッショナル人材育成プランの後押しを得、さらに本学工学研究科との連携により本格的な医学物理教育を開始することもあり、日本を代表する医学物理グループの一つといえると思います。
医学物理グループの役割
基盤研究/開発
企業との共同で四次元放射線治療機器開発を進めるとともに、呼吸性動態を考慮した4次元放射線治療計画システムあるいはモンテカルロ法を駆使した超高精度放射線治療線量計算手法の開発を独自に進めています。さらに定位放射線治療や強度変調放射線治療の技術を発展させ、体内線量集中性をより高めるような革新的技術の開発にも取り組んでいます。
臨床研究
基盤研究と連動しながら、医師グループとの共同で数々の臨床研究をサポートしています。また、定位放射線治療や強度変調放射線治療といった高精度放射線治療の新規適用部位の開拓を医師と共同ですすめています。
臨床支援
放射線治療の治療計画を医師と共同で実施しているとともにそれを支援するソフトウェアの開発も行っております。特にまた、放射線治療専門技師、医学物理士あるいは品質管理士との連携を図り放射線治療機器の品質保証/品質管理(QA/QC)にも従事しています。
企業との連携
企業が開発をすすめる放射線治療計画装置や放射線関連機器のβ版評価を数多く手がけ、製品リリースの支援を実施しています。
医学物理士育成コース
京都大学では、本格的な医学物理士育成のための大学院教育をこの4月から開始しております。これには我々医学研究科放射線腫瘍学・画像応用治療学と工学研究科原子核工学専攻が連携して関わり、幅広い量子物理工学の素養と最先端のがん治療、高度な画像診断等についての医学・医療の経験を総合的に修得できるようになっております。さらに2007年から始まった国の「がんプロフェッショナル人材育成プラン」とリンクしております。詳しくは下記を参照ください。
がんプロフェッショナル人材育成プラン
工学研究科先端医学物理領域