世界初!OXRAY®による動体追尾強度変調回転放射線治療の臨床実施
がんの放射線治療では、腫瘍に正確に放射線を照射することが重要であると同時に、正常な臓器への被ばくを最小限に抑えることも大切です。特に、肺がんや肝がんのように、呼吸によって腫瘍が動く場合、息を止めてもらう方法や特定の呼吸のタイミングに合わせて放射線を照射する方法を用いることで、照射する範囲を小さくしています。しかし、これらの方法では、患者が治療中に複数回の息止めをする必要があり、治療時間が30分以上に及ぶこともありました。
溝脇尚志 医学研究科教授(放射線治療科)、中村光宏 医学研究科教授(人間健康科学系専攻)、岸徳子 特定助教(放射線治療科)らの研究グループは、株式会社日立ハイテクと共同開発した放射線治療装置「OXRAY®」を用いた動体追尾強度変調回転放射線治療を、世界で初めて、2025年3月26日から4月1日にかけて肝がんの患者に対して実施しました。OXRAY®は、呼吸によって動く腫瘍の位置を予測するモデルを構築し、その予測に基づいて高精度な照射を行うことができます。また、強度変調回転放射線治療を併用することで、位置合わせから照射完了までをわずか10分足らずで終えることが可能です。さらに、照射中に腫瘍の位置をリアルタイムで確認できる機能も備えており、従来の方法に比べて安全性と治療精度の向上が期待されます。
今後も本技術の性能を更に高め、より多くの患者が安全かつ効果的で迅速な放射線治療を受けられるよう取り組んでいきます。
※本研究は、京都大学成長戦略本部統括事業部イノベーション領域の支援を受けています。