肺がん
肺がん
肺がんの背景
肺がんはがんの組織型(がんの顔つき)により非小細胞肺がんと小細胞肺がんに分けることができ、非小細胞肺がんはさらに、腺がん、扁平上皮がん、大細胞がんなどにわけることができます。
肺がんに対する治療方法は主に外科手術、放射線治療、薬物療法があり、病期や患者さんの状態を考慮し、患者さんと相談しながら治療方針を決めていきます。
肺がんの治療において放射線治療が果たす役割は大きく、病変の根治を目指した治療(根治的放射線治療)にも、がん病変による痛みや呼吸苦などの症状を緩和するための治療(緩和的放射線治療)にも用いることができます。放射線治療は侵襲性が少ない治療ですので、外科手術や薬物療法が困難な患者さんであっても実施できる可能性があります。
早期肺がんに対する放射線治療
リンパ節転移のない早期の肺がんに対しては、照射範囲をより正確に設定し、様々な方向からピンポイントに照射を短期間で行う体幹部定位放射線治療を行っています。
詳細については、体幹部定位放射線治療のページをご覧ください。
当院では、がん病変の呼吸性移動が大きい場合には、移動する範囲を減らすような対策(呼吸性移動対策)を行います。当院では、動体追尾放射線治療が可能です。
その他にも息止め照射法、呼吸同期照射法などの複数の手法の中から、患者さんにあわせて最適な方法を選択しています。
局所進行肺癌に対する放射線治療
病期が進行して手術が困難な肺がんに対しては、放射線治療と抗がん剤を併用した化学放射線療法を行います。高齢の患者さんや全身状態の悪い患者さんの場合は、抗がん剤の投与を行わない場合もあります。
また、化学放射線療法後には、地固め療法として1年間の免疫療法を行うことで生存成績が向上することが知られています。
一般的な化学放射線療法の治療として、非小細胞肺がんの場合は1日1回の照射を6週間、小細胞肺がんの場合は1日2回の照射を3週間行います。原則は平日のみの照射で、土日や祝日はお休みです。がん病変の呼吸性移動が大きい場合は、呼吸性移動対策を行います。
図1. 局所進行肺がんにおける根治的放射線治療の様子
肺がんオリゴ転移に対する体幹部定位放射線治療
体幹部定位放射線治療 オリゴ転移 のページをご参照ください。
疼痛緩和目的での放射線治療
肺がん病変が進行すると、肺や気管支を圧迫して呼吸苦を起こしたり、骨や脳など他の臓器に転移して痛みや神経麻痺などの症状を起こしたりする原因となります。このような病変に緩和的放射線治療を行うことで、症状の改善が期待できます。
治療期間は患者さんによって、1日~3週間程度とさまざまです。